遺留分って何?どこまで請求できるの?仕組みと意味をやさしく解説

目次

遺留分請求に動く前に確認すべき4つのポイント(概要・準備・期限・流れ)

遺留分侵害額請求は、遺留分の保護という法の趣旨に基づいており、遺留分権利者が適切な相続分を確保するための手段です。遺留分権利者がその遺留分を侵害された場合に行う手続きで、遺留分を侵害されたと認識した相続人が、不足分を他の相続人や受遺者(相続人以外で遺言などにより財産をもらった者を指します。)に請求することができます。

遺言や生前贈与によって遺留分が侵害されるケース

遺留分侵害額請求が問題となる典型的な場面の一つが、「遺言」や「生前贈与」によって、ある相続人の取り分が極端に少なくなっているケースです。たとえば、被相続人が生前に特定の子どもに不動産や多額の金銭を贈与していたり、遺言書によって特定の相続人または第三者にすべての遺産を相続させると記載していた場合などが該当します。

遺留分の制度は、特定の相続人が不当に排除されたり、生活が立ち行かなくなるのを防ぐことを目的としています。しかし、被相続人がその趣旨に反して、遺言や生前贈与によって一部の相続人に過度な財産を集中させると、他の相続人の遺留分が侵害される事態となります。請求先は、財産を多く受け取った他の相続人や受遺者(相続人以外で財産をもらった人)です。

なお、相続財産に不動産が含まれている場合や、生前贈与が複数年にわたって行われている場合などは、正確な財産評価や取得時期の整理が必要です。遺留分がどれだけ侵害されているのかを正しく把握するには、弁護士のサポートが不可欠となることも少なくありません。

まず行うべきは相続財産の確認と請求額の計算

この請求を行うには、第一に相続財産の総額と、生前贈与や遺言により誰がいくらの財産を取得したのかを確認します。その結果として侵害された遺留分の額を計算できるようになり、具体的な金銭を請求できるようになります。当然ながら、相続財産や遺言の内容などを確認した結果、自分の遺留分が侵害されていなかった場合(遺言により遺留分を超える財産を取得できた場合など)は、遺留分侵害額を請求することはできません。

遺留分侵害額請求には期限がある|消滅時効に注意

また、民法上、遺留分侵害額請求を一定期間内に行う必要があります。具体的には、自分の遺留分が侵害されていることを知った時から1年間、または相続開始から10年間とされています。

相続が開始したこと及び遺留分侵害を知った時から」の1年はあっという間に過ぎてしまいます。数ある消滅時効の中でも特に短く設定されていますので、ご注意ください。

遺留分侵害額請求の基本的な流れ|話し合い・調停・訴訟の順序

遺留分侵害額請求は、感情的な対立が生じやすいため、段階的に手続きを進めるのが基本です。まずは相続人間での話し合いによって、円満な解決を目指します。話し合いでまとまらない場合は、請求の意思を明確にするために、相手方に対して内容証明郵便で遺留分侵害額の請求書を送付します。

内容証明でも解決しないときは、家庭裁判所に調停を申し立て、裁判所の関与のもとで話し合いを進めます。それでも合意に至らない場合は、最終的に遺留分侵害額請求訴訟を提起し、裁判所の判断を仰ぐことになります。

このように、遺留分請求は「話し合い → 内容証明 → 調停 → 訴訟」という順序で進みます。状況に応じた適切な対応と、消滅時効の管理が重要です。

遺留分侵害額請求を受けた方へ——冷静に対応するために

遺留分を請求した請求を受けた どちらの側でも無料相談でお伺いします 

相手から「遺留分を侵害された」として突然請求が届いた場合、多くの方が不安になります。
しかし、請求のすべてが法的に正しいとは限りません。

例えば

  • 実際に遺留分が侵害されているのか
  • 相手の計算が正確か
  • 請求が時効にかかっていないか
    などを一つひとつ確認する必要があります。

弁護士から内容証明が届いても、慌てて応じるのではなく、
まずは下記のような流れで冷静に対応してください。

  1. 請求の内容と金額の確認
  2. 遺留分や相続財産の計算
  3. 過去の贈与や特別受益の検討
  4. 時効の可能性
  5. 交渉・調停・訴訟の選択肢
  6. 弁護士への相談のタイミング

👉 上記のステップを具体的に解説した、対応の流れと注意点をまとめたガイドがあります。
「実際に請求を受けた方」向けの対応方法をより詳しく知りたい方は、実際の対応ステップや注意点をまとめた
遺留分侵害額請求を受けた方への完全ガイド をご覧ください

府中・多摩地方で遺留分侵害額請求を受けた方への完全対応ガイド

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相続案件の基本的な流れフローチャート

誰が遺留分を請求できるの?請求できる相続人の範囲を確認しましょう

遺留分とは、法律が定める相続人(配偶者、子供、親)が必ず受け取ることができる最低限の相続分を指します。遺留分の対象者とは、配偶者のほか、第1順位相続権者となる子供(孫を含みます。)と、子供がいない場合に第2順位相続権者となる親が含まれます。兄弟姉妹(第3順位相続権者)には遺留分はありません。一般的に兄弟姉妹は被相続人との関係が子や親と比較して離れているため、最低限の財産を保障する遺留分の趣旨が基本的に当てはまらないためです。

遺留分の計算方法は、法定相続分と遺留分割合を掛けることで求めることができます。具体的には配偶者と子供1名のみが相続人となる場合、子供の遺留分は1/4(法定相続分1/2×遺留分割合1/2)となります。また、配偶者と親1名が相続人となる場合には、親の遺留分は1/6(法定相続分1/3×遺留分割合1/2)となります。

相続人の状況遺留分の合計 (総体的遺留分)法定相続各相続人の遺留分 (個別的遺留分)
配偶者のみ1/21/11/2
配偶者と子ども一人1/2配偶者:1/2. 子:1/2配偶者:1/4. 子:1/4
配偶者と子ども二人1/2配偶者:1/2 子:1/4 子:1/4配偶者:1/4 子:1/8 子:1/8
配偶者と両親1/2配偶者:2/3 両親:1/3配偶者:1/3 両親:1/6 (父:1/12・母1/12)
配偶者と兄弟姉妹1/2配偶者:3/4 兄弟姉妹:1/4配偶者:1/2 兄弟姉妹:なし
子(孫)のみ1/21/11/2
両親(祖父母)のみ1/31/11/3
兄弟姉妹(甥・姪)のみ01/10
遺留分>遺言! 遺留分は遺言書に優先! 遺留分や遺言書作成の注意点

遺留分と遺言書の関係性について紹介し、遺留分対策や遺言書作成時の注意点を解説します。トラブルなくスムーズに相続手続きを進めたい方は、ぜひ参考にしてください

(1) 誰が遺留分を請求できる?遺留分権利者の範囲

遺留分の対象者とは、遺留分侵害額請求ができる人を指し、特定の親族が該当します。これを遺留分権利者と呼びます。遺留分権利者の具体的な例としては以下の人々が挙げられます。

・被相続人の配偶者

・被相続人の実子(既に死亡している場合は代襲相続人として孫)

・認知されている非嫡出子

・被相続人の直系尊属(父母や祖父母)

ただし、遺留分権利者であっても相続放棄した人や相続廃除された人、相続欠格となった人には遺留分はありません。

また、兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分制度の主な目的は遺族の生活を維持することにあります。兄弟姉妹の場合、通常は被相続人との生計を共にしているわけではなく、また財産形成に貢献しているわけでもありません。そのため、兄弟姉妹の生活を維持するために遺留分を認める必要は低いとされていることがその理由です。

遺言執行者から遺言内容の通知を受けたらまず遺言の内容をしっかり確認し、法定相続分と比較するなどして「もらえる額が少ないな」と感じた場合には当事務所へのご相談をご検討ください。

遺言執行者については、こちらで詳しく解説しております。

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(2) 配偶者と子2人の相続時、それぞれの遺留分はいくら?

配偶者と子供が相続人となる場合の遺留分の割合は、法定相続分の1/2とされています。ここで、法定相続分は配偶者と子供とで1/2ずつと定められています。つまり、配偶者と子供1名が相続人となる場合、法定相続分は配偶者1/2、子供1/2となります。

この割合から計算される遺留分は、次のようになります:

【計算式】 配偶者と子供の遺留分:1/2(法定相続分)×1/2(遺留分割合)=1/4

子供が2名いる場合、子供全体の相続分1/2を子供の人数で割ることで子供1名あたりの法定相続分を算出し、そこに遺留分割合を乗じて計算されます。したがって、

【計算式】 子供1名あたりの遺留分:1/4(法定相続分)×1/2(遺留分割合)=1/8

このようにして遺留分を計算します。

(3) 配偶者と親が相続人のとき、子がいる場合とどう違う?

配偶者と親が相続人である場合の遺留分について解説します。

法定相続分は、配偶者が2/3、親が1/3となります。これを基に遺留分を計算すると、配偶者の遺留分は「法定相続分の1/2」なので「2/3×1/3=1/3」、親の遺留分も「1/3×1/2=1/6」となります。遺留分は法定相続人が最低限受けられるべき遺産の取り分ですから、この計算によって配偶者と親が受け取るべき最低限の遺産が定まります。

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遺留分算定の対象となる財産、ならない財産

遺留分とは、一定の範囲の法定相続人(配偶者、子、直系尊属)に保障される最低限の相続分のことです。被相続人が遺言によって財産を第三者に渡したり、生前に財産を贈与したりした場合でも、法定相続人には一定割合の財産を相続する権利が認められています。この権利が「遺留分」です。

遺留分の割合は、直系尊属(被相続人の親、祖父母など)のみが相続人の場合は法定相続分の3分の1、それ以外の場合は法定相続分の2分の1とされています。しかし、すべての財産が遺留分算定の対象となるわけではありません。

生前贈与、生命保険は対象?除外される財産の判断

遺留分算定の対象となる財産について詳しく見ていきましょう。基本的に遺留分算定の基礎となる財産は、「相続開始時に被相続人が有していた財産」と「相続開始前1年間にされた贈与財産」です。

遺留分の対象となる財産

遺留分の算定対象となる財産は以下の通りです。

1. 相続開始時の被相続人の積極財産
現金、預貯金、不動産、有価証券、自動車、貴金属、美術品など、被相続人が所有していたすべての財産が含まれます。

2. 相続開始前1年以内の贈与財産
被相続人が死亡する1年以内に行った贈与は、原則として遺留分算定の基礎財産に含まれます。これは駆け込み的な生前贈与による遺留分侵害を防ぐための規定です。
「1年以内」であるか否かは、贈与契約の締結日を基準に判断されます。贈与契約に基づいて受贈者が財産を受け取った日が1年以内であっても、贈与契約の締結日が1年よりも前であれば,贈与された財産は原則として遺留分算定の対象には含まれないことにご注意ください。

3. 相続開始前1年以上前の贈与財産(条件付き)
相続開始1年以上前の贈与でも、贈与者と受贈者の双方が遺留分権利者に損害を与えることを知って贈与された財産であれば、遺留分算定の基礎財産に含まれます(民法1044条1項後段)。
また、受贈者が相続人であり、かつその贈与が「婚姻・養子縁組のための贈与や生計の資本としての贈与」であると認められる場合は、相続開始10年前までの間に贈与された財産が遺留分算定の対象となります(民法1044条3項)。相続人以外の者に対する生計の資本としての贈与は、原則どおりに1年以内です。

遺留分の対象とならない財産

一方、以下の財産は遺留分の対象から除外されます。

1. 一定期間を経過した生前贈与財産
相続開始1年以上前の贈与財産は、原則として遺留分算定の基礎財産に含まれません(例外は上記のとおりです。)。

2. 生命保険金
生命保険の死亡保険金は、契約によって保険金受取人に直接支払われるため、原則として被相続人の相続財産とはならず、遺留分算定の基礎財産にも含まれません。
ただし、生命保険金以外の財産額が極めて少ないなどの理由によって遺留分権利者が大きく損をしており、生命保険金を受け取った者と遺留分権利者との関係があまりにも不公平であるといえるような場合には、例外的に生命保険金を遺留分算定の対象となる財産に含めると判断した最高裁判所の判例があります。

3. 祭祀財産(お墓や仏壇など)
遺留分算定の対象となる財産は、相続により権利が移転される財産でなければなりません。そして、民法897条では、墓地や仏壇、位牌などの祭祀に関する財産は相続により権利が移転する財産には含まれないものとされているため、このような財産は遺留分算定の対象にもなりません。

4. 一身専属性のある権利
被相続人の一身に専属する権利は相続の対象とならず、したがって遺留分算定の対象にもなりません。例として、会社の従業員が死亡した場合にその相続人が当然に従業員となることができないように、雇用契約における使用者・被用者の地位などがこれに含まれます。
ただし、従業員が死亡した場合において、死亡日までの勤務に対応して死亡日以後に支払われる予定であった給与の支払請求権は相続されることにご注意ください。

生前贈与の取扱いに関する注意点

生前贈与については、特に以下の点に注意が必要です。

1. 持戻し免除の意思表示
被相続人が「持戻し免除」の意思表示をしている場合でも、遺留分算定の基礎財産からは除外されません。持戻し免除は、特別受益の持戻し計算においてのみ効力を持ちます。

2. 婚姻・養子縁組のための贈与や生計の資本としての贈与
上に述べたとおり、これらの贈与は「相続開始10年前まで」のものが遺留分算定の対象となります。なお、10年前まで引き延ばされるのは、贈与により財産を受け取った者が相続人である場合に限られることにご注意ください。

3. 遺留分減殺請求(平成30年7月1日以降は「遺留分侵害額請求」)
遺留分権利者は、遺留分を侵害する遺言や贈与に対して、遺留分侵害額請求を行うことができます。請求は金銭債権として行使されます。

財産評価のタイミング

遺留分算定における財産評価は、「相続開始時」の価額で行います。
したがって、生前に贈与された財産について、相続開始前に受贈者が第三者に対して売却してしまった場合も、売却代金(=売却時の評価額)にて評価するのではなく、改めて相続開始時点で評価を行う必要があります。これは不動産や株式など時間の経過とともに価値が変動する財産の場合、特に重要なポイントとなります。

具体的な財産について、遺留分の対象となるかどうか判断に迷う場合や、遺留分侵害額請求を検討している場合は、早めに弁護士に相談することをお勧めします。相続の専門家による適切なアドバイスを受けることで、複雑な遺留分問題を円滑に解決できる可能性が高まります。

遺留分を請求するには?手続きの流れと方法を解説

遺留分を請求する際には、段階的に手続きを進める必要があります。ここでは、遺留分請求を検討している方に向けて、具体的な流れをステップごとにご紹介します。

ステップでわかる!遺留分侵害額請求の全体像

遺留分侵害額請求の手続きは大きく4つのステップに分けられます。

(1) 遺留分について相続人と話し合う  

まずは遺留分侵害の事情を相続人全員に共有し、話し合いで解決することを試みます。

(2) 内容証明郵便で請求  

話し合いによる解決が難しい場合、次のステップとして内容証明郵便を用いて侵害額請求を行うことが考えられます。この内容証明郵便は、いつ、誰から誰宛てに、どのような内容の文書が差し出されたかを郵便局が証明する郵便です。内容証明郵便を用いることで請求を行った日付を証明できるようになり、遺留分侵害額請求の消滅時効を主張されることを予防することができます。​​

(3) 調停による遺留分侵害額の請求

 内容証明郵便を送付しても支払を受けられなかった場合は、家庭裁判所に調停を申し立てます。どこの家庭裁判所に申立てを行うか(管轄裁判所)は、請求の相手方の住所地を管轄する家庭裁判所または当事者の合意で決めた家庭裁判所が管轄裁判所となります。申立てを行う側の住所地の裁判所は当事者で合意しない限り管轄裁判所ではないのでご注意ください。

(4) 訴訟による遺留分侵害額の請求

調停でも解決しない場合、最終手段として訴訟を起こします。なお、訴訟の場合は調停と異なり、訴えを提起する側の住所地を管轄する地方裁判所(または簡易裁判所)を管轄裁判所とすることが可能です。

以上のステップを踏み、適切な遺留分を請求することが可能となります。

(1) 遺留分について相続人と話し合う方法

遺留分侵害額請求は、法的手続きに進む前に、まずは当事者間での話し合いを試みることが重要です。この段階で解決できれば、時間や費用、そして関係者の精神的負担を大きく軽減できます。

まずは、全ての相続財産をリストアップし、それぞれの価値を見積もります。それから、法定相続分と遺留分を計算し、具体的な数字を示すことで理解を深めることが可能です。

この段階で遺留分侵害が明らかになれば、侵害額の返還を相続人間で話し合うよう努めましょう。円滑なコミュニケーションのためにも、弁護士への相談、弁護士を通じての話し合いなどを検討することも必要です。

話し合いの準備

相続人との話し合いに臨む前に、以下の準備をしておくことが重要です。

遺産の調査と評価

まず、被相続人がどのような財産を所有していたかを調査します。不動産、預貯金、有価証券、生命保険、動産など、あらゆる財産を洗い出します。特に不動産については、不動産鑑定士による評価を受けることも検討しましょう。

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相続財産の評価額は、原則として相続開始時(被相続人の死亡時)の時価で行われます。正確な評価額が話し合いの基礎となるため、できるだけ客観的な資料に基づいて算出することが大切です。

遺留分の計算

次に、自分の遺留分を計算します。計算式は以下の通りです。

遺留分 = (相続財産の総額 + 生前贈与額)× 法定相続分 × 遺留分率

なお、遺留分算定の基礎となる財産には、相続開始時に被相続人が所有していた財産だけでなく、相続開始前の一定期間内になされた贈与も含まれる場合があります。

話し合いの進め方

準備ができたら、実際に相続人との話し合いを進めていきます。

話し合いの場の設定

話し合いの場所と時間を設定します。中立的な場所を選ぶことで、参加者全員が発言しやすい環境を作ることができます。必要に応じて、司法書士や弁護士などの専門家に同席してもらうことも検討しましょう。

また、事前に議題や論点をまとめておくと、話し合いがスムーズに進みます。感情的になりがちな相続の話し合いでは、客観的な事実や数字に基づいて話を進めることが重要です。

遺留分侵害の説明と請求内容の提示

話し合いでは、まず自分の遺留分が侵害されていることを説明します。具体的な計算根拠を示しながら、どの程度の侵害があるのかを明らかにします。そして、請求する金額や方法について提案します。

この際、一方的な主張ではなく、相手の立場や事情も考慮した提案をすることが合意への近道です。例えば、一括での支払いが難しい場合は分割払いを提案するなど、柔軟な対応を心がけましょう。

遺留分の合意は書面で残すのが鉄則|弁護士がサポートします

話し合いによって遺留分に関する合意が成立した場合でも、そのまま口約束で終わらせてしまうのは非常に危険です。後になって「そんな約束はしていない」「支払うつもりはなかった」といったトラブルが生じることもあります。こうしたリスクを防ぐためには、合意内容をきちんと書面化することが不可欠です。

遺留分に関する合意書や和解契約書には、支払金額、支払方法、支払期限に加えて、万が一支払いが滞った場合の取り決めなども盛り込む必要があります。これらの内容は、当事者間での力関係や誤解を避けるためにも、法的に適切な表現でまとめることが大切です

そのため、こうした書面の作成には、相続に詳しい弁護士の関与を強くお勧めします。当事務所では、遺留分の協議が成立した後も、和解契約書の文案作成から署名・押印まで一貫してサポートしています。安心して手続きを進めたい方は、ぜひご相談ください。

話し合いが難航した場合の対応

話し合いで合意に至らない場合も少なくありません。そのような場合は、次のステップとして内容証明郵便による正式な請求を検討します。

話し合いの段階で相手の反応や主張を把握できていれば、次のステップでの戦略を立てる上で役立ちます。例えば、相手がどの点に異議を唱えているのか、どのような条件であれば合意できる可能性があるのかなどの情報は、今後の手続きを進める上で貴重です。

(2) 内容証明郵便で請求する方法

遺留分侵害額請求の最初の正式なステップとして、内容証明郵便による請求が重要です。話し合いで解決しなかった場合、法的手続きに進む前に内容証明郵便を送ることで、相手方に正式な請求の意思を示すことができます。

内容証明郵便とは

内容証明郵便とは、郵便局が「誰が」「誰に」「いつ」「どのような内容の文書を」送付したかを公的に証明する郵便サービスです。一般書留郵便物の一種として取り扱われます。

内容証明郵便に記載すべき内容

遺留分侵害額請求の内容証明郵便には、以下の項目を明確に記載する必要があります。

  • 差出人(請求者)の氏名、住所
  • 受取人(相手方)の氏名、住所
  • 被相続人(亡くなった方)の氏名、死亡日
  • 遺留分権利者であることの説明
  • 遺留分侵害の事実と計算根拠
  • 請求する遺留分侵害額の金額
  • 支払期限(通常は1ヶ月程度)
  • 支払方法(振込先口座情報など)
  • 期限内に支払いがない場合の対応(調停や訴訟に移行する旨)

これにより遺留分侵害額請求の意向が明確に伝えられ、遺留分侵害額についての請求権を行使することができます。これが消滅時効期間内、相続が開始したことと遺留分侵害を知った時から1年以内(民法1048条)に相手方に届けば、届いた日の翌日から5年間請求権が保全されます(民法第166条1項1号)

【重要】内容証明郵便送付のタイミング

遺留分侵害額請求権には、民法第1048条により「相続の開始および遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時」から1年で消滅する短期消滅時効が定められています。確実に権利を行使するためには、この「知った日」から遅くとも数か月以内、可能であれば3か月以内に内容証明郵便により請求を行うことが望まれます。交渉が長引く場合に備え、早めに手続を開始しておくことが安全です。

内容証明郵便送付後の対応

内容証明郵便を送付した後は、以下のような対応が考えられます。

相手方が支払いに応じた場合

相手方が請求内容を認め、遺留分侵害額を支払った場合は、合意書面を作成して解決となります。特に遺留分侵害額請求を受けた側から分割払いの申し出があった場合は、合意内容を明確に書面にまとめておくことが大切です。

相手方から反論があった場合

相手方から「遺留分侵害はない」「計算に誤りがある」などの反論があった場合は、内容を精査し、必要に応じて再度話し合いの機会を設けることも検討します。この段階で弁護士に相談することも有効です。

回答がない場合または拒否された場合

内容証明郵便に対して回答がない場合や、請求を明確に拒否された場合は、次のステップとして家庭裁判所での調停手続きを検討することになります。このとき、内容証明郵便を送付した事実は、誠実に解決を試みたという証拠となります。

内容証明郵便のコスト

内容証明郵便の送付には、2024年10月以降の改定により以下の料金がかかります。基本の郵便料金(110円)に加え、内容証明加算(1枚目480円、2枚目以降1枚ごとに290円)、書留加算(480円)、必要に応じて配達証明加算(350円)がかかります。たとえば3枚構成・配達証明付きの場合、合計で2,000円となります。

(3) 調停による遺留分侵害額の請求方法(調停前置主義)

遺留分侵害額請求において、話し合いや内容証明郵便での請求が実を結ばなかった場合、次の段階として「調停」という手続きを検討することになります。調停は裁判所が関与する手続きですが、訴訟よりも柔軟で和解を目指した手続きであるため、人間関係を維持しながら問題解決を図りたい場合に有効です。

調停の申立て方法

調停の管轄裁判所の確認

遺留分侵害額請求の調停は、原則として相手方(遺留分を侵害している人)の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所は当事者の合意がない限り管轄はありません。

調停申立に必要な書類の準備

・調停申立書(家庭裁判所のウェブサイトからダウンロード可能)及びその写し(相手方の数の通数)

・被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)

・相続人全員の戸籍謄本

・被相続人の子や代襲相続人が死亡している場合、その方の出生から死亡までの全戸籍

・遺言書の写し または 遺言書検認調書謄本の写し(遺言がある場合)

・不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書

・預貯金通帳の写し、残高証明書、有価証券の写し

・債務の金額がわかる資料(借用書、請求書など)

・収入印紙(申立手数料:1,200円分)

・郵便切手(必要額・種類は申立て先の家庭裁判所にご確認ください)

調停の流れとポイント

調停は、申立てから約1か月後に第1回期日が指定され、調停成立まで平均3〜6回(全体で約4〜12か月)開廷されるのが一般的といえます。当事者は基本的に別室で個別に話を進め、遺産評価・遺留分計算などを協議しながら合意を目指します。
相続関係の整理や書類の準備が不安な方は、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

主張と証拠のポイント

調停では、遺産の内容(不動産・預金・有価証券など)や生前贈与の事実を証明し、遺留分侵害額の計算根拠を明確に提示することが重要です。可能な限り証拠資料を揃えておきましょう。

合意を目指すために

・満額請求にこだわらず柔軟な姿勢で
・分割払いや代償物での支払いも検討
・感情的対立を避け、冷静に対応
調停での話し合いもこじれてしまいそうな場合は、弁護士が間に入ることで冷静な話し合いが進めやすくなります。

調停後の対応

調停が成立した場合、調停調書は判決と同じ効力があり、支払いがなされない場合は強制執行も可能です。不成立の場合は訴訟に移行して解決を図ることになります。

調停前置主義について

遺留分侵害額請求における調停の必要性

遺留分侵害額請求は、家庭に関する事件の一環として、まず家庭裁判所での調停から始める必要があります。これは、法律で「人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件」については、調停を試みることと明記されているためです(家事事件手続法244条、257条1項)。

調停を省略して訴訟を起こした場合の扱い

調停前置を行わなかったとしても、直ちに訴えが却下され、または付調停(裁判所が自らの判断で訴訟中の事件を調停に回すことを意味します。)とされるものではありません。調停前置は訴訟要件(それが充たされない場合に訴えが却下される条件を意味します。)ではないためです。

また、家事事件手続法257条2項では、調停を前置すべき事件について「家事調停の申立てをすることなく訴えを提起した場合には、裁判所は、職権で、事件を家事調停に付さなければならない。ただし、裁判所が事件を調停に付することが相当でないと認めるときは,この限りでない。」と定められており、例外的に付調停としないことが法律上認められています。付調停とするかどうかは裁判所の判断に委ねられますが、管轄区域が異なるために事件を遠方の家庭裁判所に移さなければならない等の事情があるためか、付調停とせずに訴訟が続けられるという例も一定程度あるようです。

このように、遺留分侵害額請求における調停は、訴訟に進む前に試みるべき手続きですが、万が一調停を行わずに訴訟を起こした場合の対応についても、法律には一定の柔軟性があります。

(4) 訴訟による遺留分侵害額の請求方法

話し合いや調停で解決に至らない場合、最終的な解決手段として訴訟を提起することになります。
遺留分侵害額請求訴訟は、交渉や調停で解決できなかった場合の最終手段として有効であり、法的拘束力のある判決を得られる点が大きなメリットですが、一方で時間・費用の負担が重く、精神的なストレスや親族関係の悪化リスクも伴うため、慎重な判断が必要です。

訴訟の進行と主な手続き

遺留分侵害額請求訴訟の一般的な流れは次の通りです。

  1. 訴状提出
     → 原告の住所地又は被告の住所地を管轄する地方裁判所(訴額140万円以下は簡易裁判所)に提出。被相続人の最後の住所地を管轄する地方裁判所には当事者の合意がない限り管轄はありません。
     → 収入印紙と郵便切手を同時に納付。
  2. 第一回口頭弁論
     → 相手方に訴状が送られ、答弁書が提出されます。初回期日は主に形式的な確認で終わることが多いです。
  3. 争点整理
     → 裁判所が双方の主張を整理します。遺産の範囲、評価、遺留分の割合、時効などが争点となります。
  4. 証拠調べ
     → 書証や証人尋問などを通じて事実関係を明らかにします。必要に応じて不動産鑑定も行われます。
  5. 判決または和解
     → 裁判所が判決を下すか、途中で和解が成立する場合もあります。和解内容は和解調書として記録され、判決と同じ効力を持ちます。

訴訟は時間と費用がかかるため、それを覚悟して進めることが必要です。具体的な手続きや費用については、弁護士としっかり相談してください。

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請求できるのは1年以内?知らないと時効になるケースも

(1) いつまでに請求すればいい?遺留分請求における消滅時効の基本ルール

遺留分侵害額請求には消滅時効があることを覚えておく必要があります。遺留分侵害額請求の時効は「相続開始」と「遺留分侵害を知った日」から1年間です。

「贈与又は遺贈があったことを知った時」(民法1048条)とは、相続開始及び遺贈、贈与があったことのみを知った時でなく、それが遺留分を侵害し、減殺しうべきものであることを知った時とするのが判例です。この時効を過ぎてしまうと、遺留分侵害額を請求できる権利が失われてしまいます。また、これに加えて「相続開始から10年」の消滅時効も存在します。こちらの時効は自分が相続開始を知らずとも進行してしまうのでご注意ください。

(2) 財産内容が不明でもできる遺留分請求

遺留分侵害額請求の期限は、基本的には「相続開始と遺留分侵害」を知った時から1年以内となります。しかし、「遺言の内容が自分の遺留分を侵害するのかどうかがわからない。」という理由で遺留分侵害額請求ができないまま請求期限が迫ってしまうような場合もあるかもしれません。

上記の1年の時効は「遺留分侵害があることを知った日」から起算されるので、相続財産額がわからないために侵害があるかどうかもわからないという段階では時効期間の計算が始まっていないことになります。しかし、このような場合でも、侵害額請求の相手方から「以前から財産額は知っていたはずであり、既に1年間は経過している。」という反論を受けてしまい、交渉が難航するおそれがあります。

そのような場合に備えて、財産額が判明していないことを前提に、請求額を明記せずに「この遺言は自分の遺留分を侵害しているので、遺留分侵害額を請求する。」という書面を配達証明書付きの内容証明郵便で発送することもあります。この場合は財産額が判明した後にもう一度侵害額を明記した請求を行います。

(3) 相続税の申告が必要なケースと専門家に相談すべき場面

遺留分を受け取った場合、相続財産とみなされ、相続税の対象となる可能性があります。つまり、遺留分侵害額を受け取った場合は、その金額を相続財産として申告する必要があります。

遺留分侵害額請求に伴う税金の手続きは複雑なため、専門家である税理士のアドバイスを受けることをお勧めします。当事務所では、府中市を中心と

した多摩地域に密着した活動を行っており、相続に強い税理士とも常時提携して相続業務を遂行しております。必要に応じて相続に強い府中、多摩地域の税理士をご紹介いたします。

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遺留分侵害額請求の手続きは専門的な知識を必要とするので、近隣の法律事務所に相談することが一番の近道と言えます。府中・多摩地域に密着するあさかぜ法律事務所は、遺留分侵害額請求の手続きを経験豊富な弁護士がサポートし、遺留分の計算から、必要な書類の準備、請求手続きの進行管理までを一手に引き受けます。あなたのお悩みを弁護士法人あさかぜ法律事務所の相続無料相談でぜひお聞かせください。

また、遺留分侵害額請求における時効や税務上の問題、不動産登記などについても的確なアドバイスを提供する税理士、司法書士とも強力な連携を実現しています。多摩地域に密着した弁護士である私たちと税理士、司法書士など専門家たちと一緒に、遺留分侵害額請求をスムーズに進めましょう。

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遺留分に関するQ&A

1. 遺留分侵害額請求をする方(請求者)からのご質問

遺留分とは何ですか?

遺留分とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に法律上保障されている最低限の遺産の取り分です。被相続人(亡くなった方)が遺言で特定の相続人や第三者に全財産を渡すとしていても、遺留分権利者は自身の遺留分に相当する金銭を請求できます。

私にも遺留分はありますか?誰が遺留分を請求できるのですか?

遺留分を請求できるのは、配偶者、子(またはその代襲相続人である孫など)、直系尊属(父母や祖父母など)です。兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分はどれくらいの割合ですか?

遺留分の割合は、法定相続人の構成によって異なります。

  • 直系尊属のみが相続人の場合:法定相続分の3分の1
  • それ以外の場合(配偶者のみ、子のみ、配偶者と子、配偶者と直系尊属など):法定相続分の2分の1
    全体の遺留分を、各遺留分権利者の法定相続分で按分します。

父が亡くなりました。遺言で「愛人に全財産を遺贈する」と書かれていました。私は遺留分を請求できますか?

はい、お子様には遺留分がありますので、愛人に対して遺留分侵害額請求を行うことができます。

要です。相続開始後は意思表示のみで放棄可能です。

遺言書で「遺留分を請求しないように」と書かれていても請求できますか?

はい、遺言書にそのような記載があっても、法律上の遺留分は一方的に奪うことはできません

遺留分を放棄できるのは、相続開始前に家庭裁判所の許可を得て行った場合に限られます。そのため、遺言だけで遺留分を請求できなくなることはありません。

遺留分侵害額請求はいつまでに行う必要がありますか?

「相続開始」と「遺留分侵害を知った日」から1年間です。遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年以内に請求しないと、時効によって消滅します。また、相続開始から10年を経過した場合も請求できなくなります(除斥期間)。

遺留分侵害額請求はどのように行えばよいですか?

まずは内容証明郵便で請求の意思表示をするのが一般的です。話し合いがまとまらない場合や金額に争いがある場合は、家庭裁判所の調停や、地方裁判所への訴訟を検討します。

遺言書が見つかりましたが、明らかに父の筆跡ではありません。この場合も遺留分請求になるのでしょうか?

遺言書が無効である可能性がある場合は、まず遺言無効確認訴訟を検討します。無効と判断されれば法定相続分による分割となり、遺留分の問題とは別の対応になります。遺言の作成に疑問がある場合は弁護士にご相談ください。

生前に父から多額の援助を受けていた兄弟がいます。これも遺留分の計算に関係しますか?

はい、生前贈与(特別受益)は遺留分算定の基礎財産に加えて計算されます。ただし、対象となる贈与には一定の制限がありますので、具体的事情によって判断が必要です。


2. 遺留分侵害額請求をされた方(受遺者・受贈者)からのご質問

亡くなった父の遺言で全財産を私が相続することになりました。他の兄弟から遺留分を請求されていますが、応じなければなりませんか?

はい、遺留分が認められる場合は請求に応じる義務があります。遺言によってすべてを相続しても、他の相続人の遺留分を侵害している部分については金銭で支払う必要があります。

遺留分を請求されましたが、すぐに支払える現金がありません。どうすればよいですか?

原則として金銭で支払う必要がありますが、請求者と分割払いを交渉することができます。合意が得られない場合には、裁判所による支払猶予の判断を仰ぐこともあります。

遺留分を請求してきた相手に、私も被相続人から生前に贈与を受けていたことを指摘されました。これはどういうことですか?

被相続人から生前に財産をもらっていた場合、それが特別受益(結婚費用や住宅購入資金など)と見なされると、贈与の時期によって遺留分の取り分からその分が差し引かれることになります。

また、たとえ特別受益にあたらない贈与であっても、贈与時の意図によっては遺留分を計算する基準となる財産に加えられることがあります。

このように、遺留分の請求をめぐっては、請求する側・される側の双方が被相続人からどのような贈与を受けたかが問題となり、最終的な金額に大きく影響します。

遺留分侵害額の計算方法が複雑でよく分かりません。相手の請求額が妥当かどうかも判断できません。

遺留分の計算には専門知識が必要となります。相手の請求が妥当かどうかも含めて、弁護士に相談することをおすすめします。

遺留分を請求されていますが、遺言の内容通りに財産を取得したいです。何か方法はありますか?

遺留分は法律で保障された権利であるため、完全に無視することはできません。しかし、相手が請求している金額の妥当性を見直したり、遺産の評価額に争いがある場合は金額を減らす余地があります。

また、現金ではなく代償として他の財産を支払うといった交渉も可能です。

遺言の内容を最大限尊重しつつ、実現可能な着地点を探ることは十分に可能ですので、弁護士とともに方針を検討することをおすすめします。

遺留分を請求してきた相続人とは長年折り合いが悪く、直接話したくありません。

遺留分を請求してきた相続人とは、長年関係が悪く、直接のやり取りは避けたいとお考えかもしれません。

弁護士にご依頼いただければ、相手方との連絡や交渉はすべて弁護士が対応します。ご本人はご希望を弁護士に伝えていただくだけで、そのご意向に沿って遺留分問題の解決を進めます。

専門家が介入することで、迅速かつ公平な対応が可能となり、精神的なご負担を大きく軽減することができます。

遺留分の請求を無視し続けたらどうなりますか?

遺留分の請求を無視し続けた場合、相手方から家庭裁判所に調停を申し立てられたり、訴訟を提起される可能性があります。

その結果、裁判所の判断に基づいて金銭の支払いを命じられ、最終的には給与や預貯金などが差し押さえられる「強制執行」に至るおそれもあります。

こうした事態を避けるためにも、できるだけ早期に専門家に相談し、適切な対応をとることが重要です。


3. 遺留分侵害額請求の内容に関するご質問

遺留分侵害額請求は、必ず裁判をしないといけないのですか?

いいえ、まずは当事者間の話し合いでの解決を目指します。合意が得られない場合に、調停や訴訟といった法的手段をとることになります。

遺留分の対象となる財産にはどのようなものがありますか?

死亡時点の財産(預金、不動産、株式など)に加え、一定期間内の生前贈与も対象となることがあります。

不動産を遺贈されましたが、遺留分として金銭を請求されています。不動産そのもので支払うことはできませんか?

原則として、遺留分侵害額の請求は金銭で支払うことが法律上のルールです(民法1046条2項)。

ただし、相手との合意があれば、不動産や他の現物財産で代わりに支払うことも可能です。

不動産を現物で渡す場合は、評価額や登記手続き、譲渡による税務上の影響にも注意が必要です。現実的な対応としては、まず相手が現物での取得に応じるかどうかを確認する必要があります。

遺留分の計算で、借金などのマイナスの財産はどうなりますか?

遺留分の算定にあたっては、被相続人のプラスの財産から債務などのマイナスの財産を差し引いた額を基準として計算されます。

このため、借金などの債務が多い場合は、遺留分の金額もその分減ることになります。

「遺留分の放棄」とは何ですか?

将来発生又は発生した遺留分の権利を放棄することです。相続開始前に行うには家庭裁判所の許可が必要です。相続開始後は意思表示のみで放棄可能です。

遺言書で「遺留分を請求しないように」と書かれていても請求できますか?

はい、遺言書にそのような記載があっても、法律上の遺留分は一方的に奪うことはできません

遺留分を放棄できるのは、相続開始前に家庭裁判所の許可を得て行った場合に限られます。そのため、遺言だけで遺留分を請求できなくなることはありません。


4. 事務所でのご相談・ご依頼に関するご質問

遺留分について相談したいのですが、相談料はかかりますか?

当事務所では、遺留分に関するご相談は初回無料、時間無制限で承っております。

「請求された側」「請求したい側」どちらの立場でも対応可能ですので、お気軽にお問い合わせください。

相談の予約はどのようにすればよいですか?

ご相談のご予約は、お電話または当事務所HPのお問い合わせフォームから可能です。

お急ぎの場合はお電話(365日平日・土日祝問わず9時から21時)、時間外の場合には、お問い合わせフォームやLINEをご利用いただくとスムーズです。

事務所に直接行かなくても相談できますか? LINEや電話での相談は可能ですか?

はい、ご来所が難しい方のために、LINEやお電話による無料相談にも対応しております。

ご希望の方法を事前にお知らせいただければ、日程とあわせて柔軟にご案内いたします。

遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用はどのくらいですか?

弁護士費用につきましては、ご依頼の内容や対応の範囲によって異なります。詳しい費用の目安や費用体系については、当ページの下部にてご案内しておりますので、そちらをご確認いただけますと幸いです。ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

相談の際に何を持っていけばよいですか?

遺言書、戸籍謄本、相続財産に関する資料など、関連資料をご持参いただけると具体的な助言がしやすくなります。

あさかぜの弁護士に依頼した場合、どのような流れで進みますか?

当事務所の弁護士にご依頼いただいた場合、次のような流れで遺留分の問題に対応していきます。

  1. 初回相談(無料)
     現在の状況を丁寧にお伺いし、遺留分の権利関係や、今後起こりうるリスク・可能性についてご説明します。
  2. 対応方針のご提案(無料)
     請求する側・された側それぞれの立場に応じて、事案の特徴に合った対応方針(交渉重視、証拠確保、争点整理など)をご提案します。
  3. 受任・正式依頼後の準備
     ご依頼により委任契約をいただいたのち、速やかに必要な書類(遺言書、戸籍、財産資料等)の収集をし、証拠や交渉材料を整理します。
  4. 内容証明や通知書の送付/受領対応
     遺留分の請求・反論について、弁護士名での書面を作成・送付します。ご本人が直接相手方とやり取りする必要はありません
  5. 交渉の開始と進行管理
     相手方との交渉や調整を代理人として行い、金額・支払方法・時期などの条件面を詰めていきます。
  6. 調停や訴訟への対応(必要に応じて)
     話し合いで解決できない場合は、家庭裁判所での調停や、地方裁判所への民事訴訟への対応に移ります。
  7. 終了手続き
     交渉や調停で最終的に合意が整った場合、裁判で判決や訴訟上の和解が成立した場合、正式に解決となります。必要に応じて登記手続きや支払いの管理までサポートします。

一つひとつの段階で、ご本人の意思確認を丁寧に行いながら進めますので、「何をされるかわからない」という不安は不要です
ご自身のペースで進められるよう、弁護士がしっかりサポートいたします。

依頼するかどうかは相談してから決めても良いですか?

はい、もちろん可能です。

当事務所では、初回のご相談は時間無制限で無料で承っております。まずは現在の状況をお聞かせいただき、法的な見通しや対応方針をご説明します。

そのうえで、ご納得いただけた場合にのみ正式にご依頼いただければ大丈夫です

無理な勧誘や急かすような対応は一切行っておりませんので、安心してご相談ください。

遺留分問題の解決にはどのくらいの期間がかかりますか?

解決までの期間は、相手方との関係性や財産内容、請求額の争いの有無などによって大きく異なります。

スムーズに交渉が進んだ場合は、1〜3か月ほどで解決することもありますが、話し合いが難航したり、調停・訴訟に発展した場合は半年から1年以上かかるケースもあります。

弁護士が早期解決のために交渉を主導し、できるだけご負担が少ない形での解決を目指します。

あさかぜ法律事務所に遺留分問題を依頼するメリットは何ですか?

当事務所には、次のような強みがあります。

  • 遺留分を含む相続トラブルに注力した弁護士が対応
     数多くの相談・解決実績をもとに、請求する側・された側のいずれにも対応可能です。
  • 初回相談無料・LINEや電話でも対応可能
     ご来所が難しい方でも安心してご相談いただけます。ご希望に応じてZoomなども利用できます。
  • 地元・府中に根ざした法律事務所としての信頼と迅速対応
     地域密着で、依頼者の生活背景やご事情に配慮したきめ細やかな対応を心がけています。
  • 「直接相手と話したくない」「感情的な対立がある」などのケースにも柔軟に対応
     代理人として全面的に対応しますので、ご本人が相手と直接やり取りする必要はありません

遺留分は一見複雑に感じられる制度ですが、適切な知識と戦略があれば主張すべき権利は守り、不要な争いは避けることができます
迷われている方も、まずはお気軽にご相談ください。

「弁護士に聞くのは大げさ…」と思っていませんか?

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平日お忙しい方や、ご家族に知られず相談したい方にも便利な相談窓口をご用意しています。

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遺留分侵害額請求では、請求する側とされる側でそれぞれ別の弁護士費用となりますのでご注意ください。

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遺留分侵害額請求 弁護士費用

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼する場合のコスト感とメリット感の比較をこちらのページでぜひ掴んでください。弁護士法人あさかぜ法律事務所での相続案件をご依頼いただく場合の弁護士費用について具体例を挙げながらご説明しております。

府中市・多摩地方で相続を依頼する弁護士費用を具体例でわかりやすく(府中市・多摩地方での相続 弁護士費用 具体例のご紹介)

府中市・多摩地方での相続 弁護士費用 具体例のご紹介

弁護士に依頼する場合のコスト感とメリット感の比較をこちらのページでぜひ掴んでください。弁護士法人あさかぜ法律事務所での相続案件をご依頼いただく場合の弁護士費用…

また、相続の初回相談は、しっかりとお話しいただき、相談までにお持ちであった疑問点を全て解消いただくよう時間の制限を設けておりません。

遺留分侵害額請求を行う場合(請求側)

相続に際して取得できると期待していた財産を取得できなかった遺留分侵害額請求の場面では、想定してない出費も多くなるなど何かとご負担も大きい状況ではないかと思われます。

そこで、遺留分侵害額請求の着手金については、日弁連基準で算出した着手金ではなく、22万円(消費税込み)を頂戴いたします。

また、同様に遺留分侵害額調停からお手伝いさせていただく場合も、日弁連基準で算出した着手金ではなく、一律33万円(消費税込み)になります。

【当事務所独自の着手金定額制度の費用上のメリット】

一般的な法律事務所様での着手金は、旧日弁連基準に従って算出しますので、例えば2000万円を取得できる場合の相続案件の場合、着手金は5.5%プラス9.9万円で計算するため、今までの計算方法によると着手金は119万9000円となります。

一方で当事務所での計算方法ではどれだけの額の請求をする場合でも、一律22万円(消費税込み)、調停から受任する場合には33万円(消費税込み)でお手伝いさせていただきます。(遺留分侵害額請求の交渉から受任し、調停に移行した場合、追加着手金11万円(消費税込み)をいただきます。)。 なお、遺留分侵害額請求を受ける側の弁護士費用の計算方法は別に定めております。

着手金  

取得想定額を問わず一律22万円(取得想定額を問わず一律 消費税込み)

調停から受任する場合の着手金

着手金 33万円(取得想定額を問わず一律 消費税込み)

着手金が追加発生する場合
 ・ 交渉から遺留分侵害額調停に移行する場合
11万円(消費税込み)

報酬
得られた経済的利益に次の割合を乗じた額(最低報酬55万円(消費税込み)

金3,000万円未満の部分        11%(消費税込み)

金3,000万円以上、金3億円未満の部分  6.6%(消費税込み)

日当

出張日当が発生する場合があります。

実費   
郵送費、振込費用など実際に当事務所が立て替えたことにより発生した実費額をいただきます。
その他に事務手数料、振込手数料等の名目で費用を請求することはございません。

遺留分侵害額請求を受ける場合(被請求側)

着手金  

取得想定額を問わず一律
交渉段階 33万円(消費税込み)
調停段階 44万円(消費税込み)
訴訟段階 55万円(消費税込み

追加着手金が発生する場合
交渉から調停に移行、調停から訴訟に移行する場合にそれぞれ11万円(消費税込み)

報酬
最終的に獲得できた遺産金額の3.3%(消費税込み)(最低金額55万円(税込))

日当

出張日当及び出廷日当が発生する場合があります。
実費   
郵送費、振込費用など実際に当事務所が立て替えたことにより発生した実費額をいただきます。
その他に事務手数料、振込手数料等の名目で費用を請求することはございません。

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上記に記載のないものや、上記についてご不明な点については、お気軽にお問い合わせください。

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