こんにちは。あさかぜ法律事務所府中大國魂神社前事務所です。
府中事務所の末永太郎弁護士と代表弁護士の吉岡誠弁護士がよくあるご相談内容について順次お話をさせていただきます。
相続の問題には,典型例としては遺産分割に関するものがありますが,ここでは最近多くお越しになられる相続放棄の問題や相続人が全くいないときの手続きについてご紹介いたします。Contents
相続放棄の肝,相続放棄ができなくなる場合

弁護士法人あさかぜ法律事務所代表弁護士の吉岡誠です。こちらでは、相続に関するご相談で最近多くご相談のある事例について、端的にご紹介をさせていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。
相続放棄といいますと、相続人ではあるけれども亡くなった方の借金などマイナスのものが多く、相続してしまうと借金を引き継がなくてはならなくなるような場合に、そのような事態を避けるために行われることが多いですね。
ただ、相続放棄は一定の期間内に家庭裁判所で手続きをしなければならないことのほか、相続放棄の手続きの中でしてはだめなこと、してしまうと後で相続放棄が認められなくなることがあります。
その部分について当事務所府中大國魂神社前事務所の末永太郎弁護士に少しお話をいただきましょう。

はい。こんにちは。府中大國魂神社前事務所の末永太郎です。どうぞよろしくお願いいたします。
相続放棄手続きにおける注意点をお話しさせていただきます。まずは、注意していただきたいのが、相続財産を減らしてはいけないということです。
自分が相続放棄をした場合に、亡くなった方にご兄弟姉妹の方がいらっしゃるとその人達が次の相続人になるように、相続順位に従って相続していくことになるわけです。 相続放棄はするけど、他所への支払があるから相続財産から支払おうと思ってお金を引き出して、その上で相続放棄がされると、次の順位の人たちは少なくなった財産しかもらえないということになります。本来もらうべき相続財産はもっとあったはずなのにという話になりますし、そこに借金とかも残っていたら借金を返すためにも少しでも多くもらいたいのに、それが少なくなっているとなればかわいそうじゃないですか。そういうこともあって、相続放棄をするなら相続財産は減らしてはいけないっていうルールがあるんです。

急な電気料金の支払いなどに急ぎ対応しなければならない場合もありますね。

そういう場合のように相続放棄をするかしないか決めかねている間は、とりあえずご自身のお金で代わりに支払うか、あるいは一切支払わないでくださいという話をしています。支払いの督促がきて怖いという方については、相続放棄をするので自分は払わない、と強く毅然とご対応いただくか、弁護士にご相談いただくことをお勧めします。
繰り返しになりますが、しっかり覚えておいていただきたいのは、亡くなった方の財産を使ってしまう、減らしてしまうということがあると相続放棄ができなくなる。このことを充分にご注意いただければと思います。
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相続人がいないとき ~特別縁故者~

さて、次の内容です。当事務所でも相談件数が多くなってきている事例です。2021年度で647億円の相続財産が国庫に帰属したと言うニュースがありました。過去最高の数字になるようで、いわゆる身寄りのないおひとりさまの増加や不動産価格の上昇も背景にして行き場のない相続財産が10年前の倍近くに増えたと言う状況です。
そのような身寄りのない、推定相続人がいらっしゃらない場合は色々身の回りの世話してくれた方とかに遺言を作っておいて財産をお渡しすることが考えられます。このようなご相談につきましては、当事務所でも遺言の作成をお勧めしております。

では、遺言がない場合、その身の回りの世話をされた方には一切財産を渡してあげられないのでしょうか。
実際に当事務所では数々のこの問題に対応してまいりました。いわゆる特別縁故者ですね。特別縁故者に対して財産を与えると言う家庭裁判所の審判をいただいております。いろんな工夫が必要となりますので、末永先生、ポイントをお聞かせください。
特別縁故者の具体例

まずは特別縁故者ってそもそもどういう人をいうのか、言い方を変えますとどういう事をしていればあなたは特別縁故者ですと裁判所に認めてもらえるかについてお話しさせていただきます。

法律には3つ書いてあるのですが、「亡くなった方と生計を同じくしていた者」、「亡くなった方の療養看護に努めた者」、そして、その他「亡くなった方と特別の縁故にあった者」ですね。
最初の二つは比較的わかりやすいかなと思います。生計を同じくしていた者は書いて字のごとく生活のお財布を一緒にしていた方ですね。
一番代表的な例は内縁の妻や内縁の旦那さん、事実上の養子にあたる方など養子縁組しなかったけど一緒に家にいて親子同然に生活をしていたとか、お財布も家計として一緒だったよという方が例としてよく挙げられるかなと思います。

療養看護に努めた者は、基本的には亡くなった方の近しいところに住んでらっしゃって、お薬を一緒に買ってあげたりとか病院に連れて行ってあげたりとか、その他に身の回りの世話をしてあげたりといったことを継続的にされていた方がこれに当たると一般的に考えられています。ただ程度の問題はやはりどうしても残ります。
一年に一回様子を見ているような形だとなかなか特別縁故者であるとは言ってもらえないでしょう。継続的かつ頻繁に身の回りの世話をしてあげている必要があるとは考えられています。
「その他被相続人と特別の縁故があった者」(民法958条の3)

このような療養看護や生計同一それ以外にも「特別の縁故がある者」に当たることを申立書の中でどのように主張していくかが私たちの仕事になります。

そうですね。まず抽象的なお話からさせていただくと、裁判所は最初の二つ、生計を同じにしていたか療養看護に努めたという場合と同じ程度に、精神的にも身体的にも、距離的にもですかね、密接な交流があった人であることを求めています。
じゃあどの程度・どれくらいの距離なのかというのはその人その人ごとに違うので、一概にこれだったら絶対に大丈夫です、これだったら難しいですというラインを決めるのは、さっきの二つよりも要件が「特別な縁故があった者」と曖昧な表現となっているため難しいですね。

身の回りの世話をしていた人が相続人じゃないけれども、親族、つまり血縁関係とかにあったかどうかというところから検討は始まってくると思います。
ご親族じゃなかったとしてもかなり近くに住んでいらっしゃって、例えば仕事のお師匠さんとお弟子さんのように一つの仕事を一緒にずっとしながら暮らしてきたケースは、実際に特別縁故者と認めてもらえた事例があるので、一つの参考になるのかなと思います。
特別縁故者として複数人が名乗り出る場合

特別縁故者として複数の方を特別縁故者として申し立てたケースもありましたね。

そうですね。お一人に対して複数の人が自分は特別縁故者ですと名乗り出る場合もありますね。
まず特別縁故者ですと名乗り出ること自体はいわゆる期限さえ守れば誰でもできるんですけれども、その中でこの人はどういう繋がりが亡くなった方と生前にあったのか、それがどの程度だったのかというところはひとりひとり裁判所が確かめていきます。
必ずしもそれぞれの方が行ったことや事実は二者択一というものではないため、複数の方が特別の縁故のある者として両立するわけです。
それで、両立するとなったときに片方しか特別縁故者にしてはいけないルールはありません。

誰がどれだけもらうのかという問題はどうしても残ってしまいますが、名乗り出た人がさきほどのお師匠さんとお弟子さんというお仕事でのつながりが強い方と、ご親族という場合であれば、亡くなった方が職場で使われていた建物とか道具のように、ご自宅と仕事で別々の財産を持っていたという場合、おそらく裁判所は仕事関係の財産をお弟子さんに、生活関係の財産をご親族にといった分け方をするのではないかなと思います。

特別縁故者の納税(相続税の内容)

当事務所では、家庭裁判所に特別縁故者として認めていただくために亡くなった方とご依頼者の生前のご関係をしっかりといろんな角度でヒアリングや調査をして充分な内容の申立書を作る仕事をしております。お困りごとがあればぜひ事務所に来ていただいて、お話をおきかせいただければと思います。

さて、特別縁故者として認められまして、実際に財産をもらえることになりました。その場合に気になるのは納税の問題ですよね。
相続税がかかってくるのか、贈与税などほかの税金がかかってくるのか。やはり気になりますよね。

財産をもらうという話になってくると、よく聞くのは贈与税と相続税の話ではないかと思うんですね。
特別縁故者が財産をもらった場合、収めるのは相続税とされています。相続人ではないのですけれども、相続税の3000万円の基礎控除というものも同じく使えるようになるとされています。
ただ、相続人が誰もいないからこそ特別縁故者は財産をもらえるので、相続人の数×600万円という追加の基礎控除は受けられません。
相続税納税内容、納税時期

もう一つご注意のポイントとしては、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)および配偶者以外の人である場合に比べて、納付する税額が2割増しになってしまうとされています。
また、いつまでに納めるのという話も当然出てきます。亡くなった日から十ヶ月というのが相続税の基本のルールです。
ただ、特別縁故者が財産もらう時はその十ヶ月が過ぎてしまっているので、財産をもらえるということが決まってから十ヶ月以内、具体的には、裁判所の判断が出てから二週間が経つと、その判断に不服を述べられなくなり(「確定」といいます。)、そこから十ヶ月が相続税の申告期限と考えられています。

当事務所では、特別縁故者となる方からのご相談を広くお受けしております。
遺言を書いていただくお手伝いや特別縁故者の申立て、多くの経験を有しております。特別縁故者に該当しうる事情があるかフットワーク軽く調査も行っています。
どうぞ事務所にお越しいただきお話をお聞かせください。
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