府中・多摩地方の交通事故〜むち打ち後症状が改善しない方へ〜

「むち打ち症状は良くなるはずなのに、なぜか腕のしびれが取れない」 「むち打ちと言われたけれど、手の握力が戻らない」 「病院で胸郭出口症候群(TOS)という診断を受けた」

このような症状でお悩みの方が、実は少なくありません。当事務所でもむち打ち損傷後にTOSと診断され、適切な治療と補償を受けられたケースを多く扱っています。

むち打ち後遺障害で後悔しない!【府中のむち打ちに強い弁護士】 が徹底サポート

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見落とされやすい合併症:胸郭出口症候群(TOS)

むち打ち損傷の多くは時間とともに改善しますが、一部の方は胸郭出口症候群(TOS)を発症し、より長期的な治療が必要となることがあります。胸郭出口症候群(TOS)とはどのような症状や特徴を有するのでしょう。

胸郭出口症候群(Thoracic Outlet Syndrome、TOS)とは

胸郭出口症候群(TOS)は胸郭出口における神経・血管束の圧迫あるいは牽引によって引き起こされる症候群です。主な特徴として、腕神経叢の刺激過敏状態を呈することが挙げられます。これは、首から腕にかけて走る神経の束(腕神経叢)が過度に敏感になり、通常では問題ない程度の動きや圧迫でも痛みやしびれが生じやすくなった状態を指します。日常的な腕の上げ下げや首の回転などの動作で症状が誘発されることが特徴です。むち打ち損傷とTOSの関連性は、現代の医学において明確に認識されています。むち打ち損傷によるTOS発症のメカニズムとしては、頸部への急激な外力による斜角筋群など腕神経叢周辺の「微小な損傷」が主な原因とされています。

発症要因は大きく三つに分類され、①先天的要因(頸肋、第1肋骨異常、軟部組織の異常)、②外傷性要因(頸部捻挫後などでの軟部組織の癒着、瘢痕化)、③非外傷性要因(腫瘍、炎症)があります。2019年の報告では、神経性TOSをさらに詳細に分類し、腕神経叢圧迫型(上肢挙上位で症状の再現・増強する)と腕神経叢牽引型(上肢下垂時に症状の再現・増強する)という新たな分類が提案されています。特に20~30歳台の女性に多く見られ、症状としては上肢の痛み、しびれ、だるさ、冷感といった腕神経叢刺激症状に加え、頸部・肩甲帯の凝りと痛み、さらには頭痛、めまい、全身倦怠感などの多様な症状が現れます。診断には、症状の存在、誘発テスト陽性、他疾患の除外という三つの要素が重要とされています。

TOSの後遺障害認定の難しさ 当事務所の等級獲得実績

胸郭出口症候群(TOS)は、一般的に後遺障害認定が難しいとされています。なぜなら、画像検査での明確な異常所見が出にくく、症状と事故との因果関係の立証が困難とされているためです。

そこで、当事務所にてTOSでの後遺障害14級9号の認定を獲得した実績をご紹介します。

TOS診断の実務的アプローチ

TOSの診断プロセスは、体系的な検査と評価の組み合わせによって進められます。主要な評価項目として、まず誘発テストの実施があります。特にMorleyテスト、Roosテストなどが重要で少なくとも1つの陽性所見が診断基準とされています。客観的評価手法としては、握力測定、MMT(徒手筋力テスト)による筋力評価、知覚検査が基本となります。斜角筋ブロックは診断的治療として重要な意義を持ち、症状の一時的改善が得られれば診断の確実性が高まります。他疾患との鑑別では、特に頸椎神経根症の除外が重要で、SpurlingテストやJacksonテストを実施します(TOSは症状が上肢全体に及び、特定の神経根領域に限定されない)。また、手根管症候群(CTS)との鑑別も必要ですが、症状の範囲が異なるため、比較的容易に区別できます。

認定のポイント

TOSの認定において、症状経過の一貫性は重要な評価要素となります。本件では、交通事故直後から左頸部から左上肢にかけてのしびれ、痛み、握力低下などの症状が継続して存在し、複数の医療機関での所見が整合的であることが確認され、初診時から現在まで、症状の性質や程度に大きな変動がなく、一定の症状が持続していることが確認されています。

客観的所見としては、握力測定値の左右差、MMTスコアでの筋力低下、誘発テストの陽性所見など、複数の客観的指標が存在することが認定の根拠となっています。これらの所見が経時的に一貫していることも、認定における重要なポイントとなっています。

取扱案件と14級9号獲得実績

本件は、被害者は事故直後から左頸部から左上肢にかけての症状を訴え、複数の医療機関を受診しています。最終的にTOSに詳しい医療センターを弁護士が指定して受診し、詳細な診断を受けています。

傷病名について 後遺障害診断書には「頸椎捻挫、左胸郭出口症候群」と明確に記載されています。これは事故による外傷を起点とした病態の進展を示す重要な診断です。

自覚症状の評価 診断書における自覚症状の欄には「左頸部~肩のしびれ~痛み」と記載されており、症状の部位と性質が具体的に示されています。この症状の分布は典型的なTOSの症状パターンと一致しています。

神経学的所見の詳細 診断書の「精神・他覚症状および検査結果」重要な所見を記載していただき、 誘発テスト所見Morleyテスト、Roosテスト共に陽性 の結果がTOSの診断に重要な両テストともに陽性所見が得られています。

Morleyテスト

  • やり方:鎖骨上窩の前斜角筋付着部を圧迫し、深吸気をさせる
  • 判定:頸部から上肢にかけての症状(痛み・しびれ)が再現/増悪すれば陽性

Roosテスト

  • やり方:肩挙上、肩関節外転90度・外旋90度、肘90度屈曲の姿勢で3分間グー・パーを繰り返す
  • 判定:3分以内に症状(しびれ、だるさ、痛み、手の蒼白化など)が出現すれば陽性

このように、本件では客観的な検査所見と症状経過の両面から、TOSの存在が明確に立証しやすくなります。

TOS 後遺障害診断書

また、ご依頼者さまの具体的な症状として、 握力の左右差、上肢MMTの左右差、左上肢の知覚異常 が確認され、さらに Morleyテスト、Roosテスト陽性という誘発テスト所見 も得られています。
さらに、他の疾患(特に頸椎神経根症)との鑑別のため実施したSpurlingテスト、Jacksonテストは陰性 であり、頸椎神経根症の除外を確認できTOSの診断の証明力を高めることができました。
加えて、TOS専門医の意見書により米国の専門医集団が定めた CORE-TOS暫定診断基準の全ての項目(症状の分布、持続期間、誘発テスト所見など) を満たしていることを主張することもでき、さらに治療として実施した 斜角筋ブロックが効果 を示したことも、診断の正確性を支持しています。

TOS専門医による意見書の一部

のような医学上の証拠を揃え異議申し立てを行った結果、TOSについて14級9号を獲得することができました。

異議申立て TOS 14級9号獲得

このように当事務所では、胸郭出口症候群(TOS)について、適切な診断と治療経過の記録、専門医による医学的意見書の提出により、後遺障害14級9号の認定を受けることができました。

事故に強い弁護士への早期相談の重要性

わかりやすく明確に解決までの道すじをお伝えしています

TOSの症状は、適切な治療と証拠収集により、改善の可能性があります。また、後遺障害認定のためには、事故直後からの症状経過の記録が重要となります。

当事務所では、TOSに関する豊富な知識と経験を活かし、適切な医療機関の選択から後遺障害認定までの総合的なサポートを提供しています。

むち打ち損傷後の違和感や不安が続く場合は、お気軽にご相談ください。一人で悩まず、事故に強い弁護士法人あさかぜ法律事務所の弁護士に時間無制限の無料相談でお悩みをお聞かせください。

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