特別縁故者であると考えられる方が、財産分与申立てを行う前または申立後に亡くなった場合、その方の地位はその相続人に承継されるのでしょうか。つまり、亡父が被相続人の特別縁故者であったことを理由に自分が特別縁故者の地位を相続しているとして家庭裁判所に特別縁故者であるとして財産分与の申立てを行うことはできるのでしょうか。


申立前であれば特別縁故者の地位は承継されず、申立後は地位の承継が認められる。


 財産分与申立てを行うかどうかは一身専属的な地位に基づくものであり、分与の地位を受ける可能性のある者も、現に申立てをしていない以上は相続財産に対する私法上の権利を有するものではない(東京高決H16.3.1)。
 他方、特別縁故者であると考えられる者が一旦分与の申立てをすれば、相続財産の分与を現実的に受けることができる地位を得ることになり、その地位は財産的性格を持つものであるから、その後にその者(=特別縁故者であると考えられる者)が死亡した場合、分与の申立人たる地位は相続性を帯び、その相続人はその地位を承継する(大阪高決H4.6.5)。

参考  寄与分の主張の場合

他方、相続人の寄与分については、被代襲者の寄与が認めらる場合、遺産分割調停の申立ての前後を問わず、代襲者がその寄与分を主張することには異論がありません。

代襲者が代襲前の寄与行為について寄与分を主張すること(孫が祖父の療養看護を父の生前からしていた場合)も実務では認める傾向にあります。

この裁判例から明らかなように、ご自身が特別縁故者にあたると思われている方は、なるべく早く家庭裁判所への申立て(すでに相続財産清算人が選任されている場合を除き、相続財産清算人選任申立てからの手続きが必要となります。)を行うことが勧奨されます。特別縁故者のご相談は無料でお伺いしておりますのでお気軽にお問い合わせください。

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