1. 府中市・多摩地方で遺産分割調停トラブルを解決する方法
府中市で遺産分割調停トラブルを解決するには、まず専門的な知識を持つ弁護士に相談することが有効です。弁護士は遺産分割調停の専門家であり、遺産分割調停の法的な流れを理解し、効率的に進行するためのアドバイスを提供します。また、調停における対立や問題が発生した場合も、適切な解決策を提案します。当事務所は、府中市だけでなく、他に事務所が所在する広島県や山口県においても遺産分割調停手続きを多数受任しており、情報と知識を所属弁護士同士で共有することで多くの経験と実績を備えています。
2. 遺産分割調停の流れとその特徴
2.1. 遺産分割調停とは何か?
遺産分割調停とは、遺産分割協議が決裂した際に裁判所に対し、相続人同士が話し合う場を提供するよう申し立てる制度です。申立ては、相手方(申し立てる側に加わっていない相続人)の住所地を管轄する家庭裁判所、または全ての相続人の合意により定められた家庭裁判所宛に行います。
遺産分割調停の流れは、以下のような手順で進行します。まず、各当事者(申立人と相手方)は、自分の主張を書面にまとめます。この主張書面は、双方の立場や請求、要求の内容を明確にするものであり、調停の手続きを進める際の基礎となります。次に、調停委員会(家庭裁判所が調停を進めるために選任した調停委員と裁判官で構成されます。)がこの書面を確認しつつ、それぞれの当事者から話を直接、個別かつ交互に聞きます。これにより、調停委員は双方の要求の詳細を理解し、適切な解決策を模索します。
その後、調停委員は双方の当事者に対して話し合いを促し、時には調停委員会が自ら解決案を提示しつつ、合意に向けての調整を行います。この過程は複数回のセッションを要することもあります。最終的に双方が合意に達すれば調停は成立し、合意内容が文書化されます(「調停調書」といいます。)。しかし、双方が合意に達しない場合は調停は不成立となり、遺産分割審判へ移行することとなります。これらの特徴を理解し、適切な対策を講じることがトラブル解決に繋がります。
2.2. 遺産分割調停の申し立て方法
遺産分割調停を申し立てるためのプロセスは、手続きに必要な書類と一定の費用が必要です。まず、申立書を作成し、これに相手方の人数分の写しを添付します。また、被相続人と相続人全員の戸籍謄本、遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書や固定資産評価証明書、預貯金の残高証明書等)も必要です。
次に、被相続人1人につき収入印紙1200円分と、連絡用の郵券(郵便切手)を用意します。必要な郵券の種類や枚数は各家庭裁判所ごとに異なるため、申立ての前に事前に管轄の家庭裁判所に確認してください。
これらの書類と費用をそろえたら、管轄の家庭裁判所、具体的には相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所、または当事者が合意で定めた家庭裁判所へ申し立てます。
これらの手続きを正確に行うことで、遺産分割調停をスムーズに進行させることが可能となります。
2.3. 遺産分割調停の手続きと進行方法
遺産分割調停の手続きでは、当事者双方からの言い分を聞きつつ話し合いによる公平な解決方法を導くために調停委員会が設けられ、相続人全員がそこで話し合いを行います。ここでは、調停委員が中立的な立場から各相続人の意見をきちんと聞き、適宜裁判官と協議を行いながら解決策を提案します。解決案に相続人全員が合意した場合は調停成立となり、調停調書が作成されます。
しかし、調停委員会の提案に強制力はなく、全員が納得いく結論に至らない場合もあります。その際は調停を不成立とした上で遺産分割審判へ移行し、裁判所が直接遺産分割の方法を決定します。
遺産分割調停の手続きは、時には長期間に及ぶものですし、専門的な用語が飛び交うこともあるため、時間的・精神的な負担を感じる方も珍しくありません。また、調停の手続きが行われる裁判所は、調停を申し立てられた側の相続人の住所を管轄する家庭裁判所となるため、遠隔地での調停手続きを余儀なくされることもあります。なお、府中市内に居住される方を相手方とする遺産分割調停は、東京家庭裁判所の立川支部に申し立てることになります。
多摩地域、特に府中市内に在籍する相続に強い弁護士との間で打ち合わせを綿密に行った上で、調停手続きの期日にも弁護士に同席し、あるいは自分の代わりに出席してもらうことで、自分の主張をより専門的かつ具体的に行うことができます。
なお、調停委員との話し合いの場に出席できる者は、原則として当事者本人と代理人弁護士に限られ、それ以外の者が話し合いの場に同席することはできません。
2.4. 遺産分割調停が不成立になる理由と対策
遺産分割調停が不成立になる主な理由には、相続財産の金額(特に、不動産の評価額)に関する意見が一致しない場合や、誰がどの財産を取得するかという点での相続人間の意見が合わない場合などがあります。また、一部の相続人が調停に応じない、または出席しないケースも不成立につながります。
このような不成立の事態を回避するには、事前の準備が重要です。具体的には、相続に強い弁護士が遺産の範囲や金額に関する資料を収集した上で詳細かつ正確な遺産のリストを作成することが必要となります。また、全ての相続人の意向をしっかり把握することで、自分の要求内容と相手方の主張がどのように食い違っているか、争点を浮き彫りにした上で調停に臨むことができます。これらの事前準備を行っておくことで、調停委員との話し合いを円滑かつ説得的に進めることができます。
また、一部の相続人が調停に出廷しない場合でも、遺産の範囲や金額が資料によって明らかにされており、一部の相続人だけに不利となるものではないと調停委員に判断してもらえれば、出席しない相続人の合意が得られない場合でも、「調停に代わる審判」という手続きにより遺産分割方法を決定することも可能となります。このような手続きを行うためにも、弁護士への依頼が必要かつ有益であるといえます。
3. 遺産分割調停におけるトラブルとその対処法
遺産分割調停では、多様なトラブルが発生することがあります。
例えば、当事者間のコミュニケーション不足や誤解が生じやすい点、不平等な遺産分割方法の提案による不満、法的な理解の不足による混乱などです。これらの問題を解決するためには、まず第一に、全ての当事者が裁判所での話し合いの場に参加することが不可欠です。また、相続に強い弁護士の助言を積極的に求めつつ、法的な側面と感情的な側面の両方を適切に扱うことが必要です。
3.1. 遺産分割調停中に起こりうるトラブルとその対応策や注意点
遺産分割調停中に起こりがちなトラブルの具体例としては、調停期日に無断で欠席する、感情的な主張ばかりを繰り返す、他の相続人の主張を聞こうとしない、嘘をつくなどが挙げられます。
これらのトラブルは調停の進行を妨げることに繋がります。注意点として、まず何よりも調停期日には確実に出席しましょう。無断欠席は相手方や調停委員に悪印象を与えてしまい、その結果として自分に有利な結論を得ることが困難になってしまいます。また、感情的な主張よりも事実に基づいた客観的な主張を心掛け、他の相続人の主張も尊重しましょう。最後に、誠実さが重視される調停では嘘は絶対に避けるべきです。これらの注意を守ることで、スムーズに調停を進行することが可能です。
以上のような事態を未然に防ぐためには、調停申立ての時点、又は調停を申し立てられた時点で、府中や多摩地域の相続に強い弁護士に相談し、必要に応じて手続代理を依頼することが効果的です。弁護士が介入することで、各相続人間の争点を明確にすることができ、調停委員へも無駄のない筋の通った法的主張を行うことができます。これにより、感情的な主張を繰り返すことで調停委員の印象を悪化させてしまうことを防ぐこともできます。
3.2. 遺産分割調停が不成立になった時の対策
以上のほかに遺産分割調停中に多く見られるトラブルは、相続人間での意見の不一致です。
様々な種類の相続財産を多くの共同相続人で分けるという手続きの性質上当然のことですが、中には紛糾して数年間調停手続きが停滞することもあります。このような場合、弁護士が紛糾している内容を専門的に分析し、争点をもう一度明確にして調停委員に争点を投げかける等の方法で問題解決を図ります。
それでも遺産分割調停が不成立になった場合、遺産分割は審判という手続きへ移行することが一般的です。審判は、裁判所が中立的な立場から遺産分割を決定します。多くの場合は、各相続人の法定相続分に応じて分割されることになるため、不動産は全ての相続人による共有とされます。預貯金も全ての相続人が割合に応じて取得するとされるため、金融機関の所定書類には全ての相続人による署名・押印を求められるおそれがあります。
なお、遺産分割審判を行う前提となる事項、具体的には遺産の範囲や相続人の地位、遺言の有効性等に争いがある場合に、訴訟によりこれらの事項を確定することがあります。これらの訴訟が行われる場合は、先に訴訟を終結させてから審判に戻ることが一般的な流れとなり、解決にはより多くの時間を費やすことを余儀なくされます。
このように遺産分割が長期化することを防ぐため、遺産分割調停手続きの中で当事者の感情を整理しつつ、冷静に合理性のある法的主張を行うことが求められます。そして、適切な法的主張を行うためには、相続に強い弁護士によるサポートを受けることが有益であるといえます。
4. 遺産分割調停成功のためのコツと有利な進め方
遺産分割調停を成功に導くためには、遺産分割調停の進め方を理解し、それに基づいて戦略を練ることが重要です。具体的には、東京家庭裁判所が提唱する「段階的進行モデル」を活用すると効果的です。このモデルは以下の5つのステップで構成されています。
このモデルは、相続手続きにおける各ステップを明確に定義し、全ての関係者が理解しやすく透明なプロセスを提供することで、調停の効率性と公正性を高め、法的な複雑さを軽減し、紛争の早期解決を実現するために施行されたものです。
① 相続人を確認する
② 遺産の範囲を確認する
③ 遺産を評価する
④ 特別受益・寄与分を確定する
⑤ 遺産分割の方法を決める
各段階における具体的な内容は以下のとおりです。
① 相続人を確認する: 東京家庭裁判所の「段階的進行モデル」において、最初のステップは相続人の確定です。法定相続人が誰であるかを明確にする段階であり、戸籍謄本などの公的書類を用いて、相続権を有する人物を特定する作業が行われます。この過程は、後の遺産分割において重要な基礎を形成します。
② 遺産の範囲を確認する: この段階では、相続財産の全範囲を特定し、明確にします。不動産、預金、株式、貴金属、個人所有の車両など、遺産に含まれる全ての資産を洗い出します。この確認作業は、遺産分割の公正性を保証し、分割対象の範囲を全相続人が理解するために不可欠です。
③ 遺産を評価する: 確定した遺産の市場価値を評価する作業です。不動産の評価額、銀行口座の残高、株式の市場価値などを正確に算出します。この評価は、遺産分割の均等性を確保するための重要な要素であり、専門家の意見が求められることもあります。
④ 特別受益・寄与分を確定する: 特別受益者がいる場合、その受益額を考慮に入れます。また、相続人の中で特に被相続人のために貢献した人がいれば、その貢献を寄与分として評価し、遺産分割に反映させます。これにより、分割が公平かつ適正に行われるように配慮します。
⑤ 遺産分割の方法を決める: 最終段階では、複雑な相続問題を小さな部分に分割し、それぞれに焦点を当てて整理してきた上記の情報を基に、相続財産をどのように分割するかを協議し決めていきます。この際、相続人全員の合意が必要です。分割方法には、物理的分割、換価分割、代償分割などがあり、各相続人の意向や状況に応じて選択します。
これらのステップを踏むことで、適切に遺産分割調停の流れを把握し、問題点を整理していくことが可能となります。
4.1. 遺産分割調停における有利な進め方
遺産分割調停を有利に進めるためには、以下の点に注意することが重要です。
1.【焦らない】: 調停委員とのやり取りに焦る必要はありません。冷静に自分の主張を伝えることが大切です。
2.【準備する】: 自分の主張を事前に準備し、それを明確に伝えることが大切です。
3.【理解する】: 相手方の言い分を理解する姿勢を見せることも重要です。これは、相手を尊重しつつ、調停を円滑に進めるためです。
4.【資料を用意】: 客観的な資料が重要であり、これは調停や審判の最終的な決定に大いに影響します。
まとめ:府中市の遺産分割調停トラブル解決法
府中市で遺産分割調停のトラブルに直面した場合、相続に強い弁護士の介入が有効な手段となります。
遺産分割調停の申立てから手続き、トラブルの解決まで、その全てのプロセスを知識と経験豊富な弁護士がサポートします。遺産分割調停が不成立になる理由とその対策、また不成立になった場合の対策なども、多くの相続案件を解決に導いた弁護士による的確なアドバイスにより解決策をご提案いたします。
遺産分割協議を行ったがうまくいかなかった、他の協働相続人から遺産分割調停を申し立てられたときは、府中市に密着して相続問題を解決する当事務所の無料法律相談をぜひご利用ください。
付録:遺産分割調停申立てに際しての必要な添付書類、申立て費用など一覧
【必要な書類】
(1)申立書1通及びその写しを相手方の人数分(申立書の書式は裁判所のホームページからダウンロードすることができます。記入例も掲載されていますので,参考にしてみてください。)
(2) 標準的な申立添付書類 ※重複する書類は1通で足ります。
①被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
➁相続人全員の戸籍謄本
③被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいらっしゃる場合,その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
④相続人全員の住民票又は戸籍附票
⑤遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書及び固定資産評価証明書,預貯金通帳の写し又は残高証明書,有価証券写し等)
なお,下記に該当する場合は上記①~⑤に加えて以下の書類が必要になります。
■相続人が,被相続人の(配偶者と)父母・祖父母等(直系尊属)(第二順位相続人)の場合
⑥被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合,父母と祖父))がいらっしゃる場合,その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
■相続人が,被相続人の配偶者のみの場合,又は被相続人の(配偶者と)兄弟姉妹及びその代襲者(おいめい)(第三順位相続人)の場合
⑥被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
⑦被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
⑧被相続人の兄弟姉妹に死亡している方がいらっしゃる場合,その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
⑨代襲者としてのおいめいに死亡している方がいらっしゃる場合,そのおい又はめいの死亡の記載のある戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本
【申立てに必要な費用】
⑴被相続人1人につき収入印紙1200円分
⑵連絡用の郵便切手(申立てされる家庭裁判所へ確認してください。)
【申立先】
相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
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着手金
取得想定額を問わず一律33万円(取得想定額を問わず一律 消費税込み)
着手金が追加発生する場合
・ 遺産分割審判に移行する場合
11万円(消費税込み)
報酬
得られた経済的利益に次の割合を乗じた額 最低報酬55万円(消費税込み)
金3,000万円未満の部分 11%(消費税込み)
金3,000万円以上、金3億円未満の部分 6.6%(消費税込み)
日当
実費
郵送費、振込費用など実際に当事務所が立て替えたことにより発生した実費額をいただきます。
その他に事務手数料、振込手数料等の名目で費用を請求することはございません。