事故で仕事を休まなければならなくなったとき
事故に遭ったことにより痛みが強くて仕事に行けないことや通院するためにやむを得ず会社を休まなければならず休んだ分お給料を減らされることがあります。
このような場合には、休業損害証明書を勤務先に作成してもらうなどの準備をして相手方保険会社に対し休業損害を請求することをご検討ください。
勤怠評価に悪影響が出て賞与が少なくなったような場合には、評価が下がったことと事故との因果関係を立証して差額分の請求することも考えられます。
また、有給休暇を取得してお休みされた日時についても、事故がなければ有休を使う必要はなかったのですから、その分のお給料が減らなかったとしても休業損害として請求することができるのです。
主婦(主夫)の家事労働は休業損害を請求できます
家事労働は、炊事洗濯に始まり、小さなお子さんのお世話などご家族のための身の回りのお世話で一年365日24時間絶えず働いているともいえる大変なお仕事です。
家事をすることで現実の社会ではお給料をもらうことはできません。しかし、交通事故の賠償の場面では、家事労働について、休業損害として休んだ分の請求を行います。法律上の休業損害の請求などの場面では、家事労働について、一年の経済的な価値を (女子全年齢平均値。毎年変動します)とみなし、一日当たりの家事労働の経済的利益を割り出してこれを休業損害として休んだ分の請求を行います。1日あたりの賃金は、賃金センサスという統計を持って計算します。
令和4年度の賃金センサス女子学歴計で、一年あたり3,943,500円が家事労働の一年単位の金額となります。
入通院で必要となった日について、全日家事ができなかったとの理論で家事労働についての休業損害を請求する場合、例えば50日通院したとすれば、
3,943,500円➗365日✖️50日=540,205円を上限として主婦休損を請求し交渉を行うことになります。
(弁護士が代理で交渉する際に用いることができる弁護士基準による請求の場合)
専業主婦と兼業主婦の休業損害の違い
専業主婦の方については、通院や疼痛の発生により家事労働をする時間や効率が阻害されるわけですから、その間家事労働ができなかったとして休業損害を請求することになります。
兼業主婦の方の場合は、実際の給与所得等と上記の家事労働の経済的利益の額を比較し、家事労働の経済的利益が高い場合には、家事労働を基準とした休業損害を算定するのが一般的です。
家事労働に関する休業損害の実例
当事務所でお手伝いさせていただいた案件で,家事労働の休業損害(主婦休損)の解決実績の一部をご紹介をします。
フルタイム勤務で欠勤なしの方
痛みで家事労働に支障が生じているものの,お仕事では特殊な業務をされておりどうしても欠勤することができないため,休業損害は請求できるのかお悩みになってご相談に来られました。
欠勤がないことは疼痛による家事労働の制限を否定する事実ではないことを業務の特殊性などから立証し,症状固定に至るまでの家事労働の休業損害が認められました。
主夫休損を認定された事例
事故に遭われたのは男性です。夫婦で同居されていますが,事故当時ご夫婦ともに無職の方でした。
このような場合,女性の方が主に家事労働を行うとのことから男性側のいわゆる主夫としての家事労働の休業損害は認定されにくいところがあります。
当事務所では,ご夫婦の生活の詳細をお伺いし,男性のご職歴から炊事関係を中心とした家事労働の内容を具体的に主張立証し,最終的には主夫として家事労働の休業損害を請求することができました。