早いもので2月になりました。

夫婦間で遺言を作られる方をお見受けすることがございます。

先に亡くなった方が遺されたものに全て相続させる内容が多いでしょうか。

(なお,二人が同じ書面に遺言を書くことはできません。「遺言は,二人以上の者が同一の証書ですることができない。」(共同遺言の禁止:民法第975条)

とても素晴らしく愛情にあふれた内容ですが,後で亡くなられる方の遺言については,既に亡くなられた配偶者(夫又は妻)に渡す内容となりますので,財産を渡すことはできません。(「遺贈は遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは,その効力を生じない」:民法第994条)

受遺者ではなく,受取人が相続人の場合でも基本は一緒です。特段の事情のない限りその効力を生じることはない(最高裁平成23年2月22日判決を一部抜粋),受取人が相続人の場合でも原則として代襲相続人に相続させることにはならないという意味です。

ですので,このような事態を回避するために予備的に先に受取人が亡くなった場合は誰にあげるかについても遺言に書いておくことが肝要かと思います。

ただ,代襲相続と同じ効果が生じるかということの心配もそうですが,当職の経験するところを申しますと,遺された配偶者(妻)が,亡くなった配偶者(夫)から遺言により受け取った財産を(遺言が無効であっても)亡くなった配偶者(夫)の親族に返したいと言われて,残された配偶者(妻)の推定相続人(実際に良く見受けられるのは,妻の兄弟姉妹)が慌てておられるという状況です。

夫婦のきずなを貫きたい思いや姻族の人間関係に配慮したいお気持ちでしょうが,さらなる争族関係を発生させることになりかねませんので,遺言を作成する際に十分なご検討をされることをお勧めしたいと思います。

(2月1日の富士山,透き通った空気感がいいですね。)

(夕方はまた別の表情を見せてくれます。)

author avatar
Yoshioka Makoto
弁護士法人あさかぜ法律事務所代表弁護士 「明けない夜はない」を胸に依頼者とともに。 相談の席で弁護士が真摯にお悩みを受け止めることで、心と体の重荷が解き放たれる。 癒えた心で法的助言を聞き、新たな未来の光を見つける。 その後、依頼者と弁護士が共に歩み解決へと導く。 明けない夜はありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA