「いつも駅からだった」は、小説を新たな形で体験する短編小説シリーズです。京王沿線を舞台に、実在する駅や街、商店街、店舗などを取り上げながら、「友情」や「家族の絆」などをテーマにした物語が描かれている小説家岩井圭也さんの作品。これまで、下北沢、高尾山口、調布を舞台に物語が綴られてきました。四作目の舞台は府中です。

野島晴香と美雨の姉妹、晴香は府中の啓文堂府中本店の社員、美雨は美大学生で晴香の勤務する啓文堂府中本店でアルバイトをしています。

姉妹の物語は小説をお読みいただいて楽しんでください。家族の絆、友情などをテーマとした「いつも駅からだった」シリーズですが、言葉、コミュニケーションの大切さを改めて感じさせてくれた作品です。

ちょっとしたボタンの掛け違いから人間関係が悪化していくこともあります。自分が思っていることは相手に伝える。言い方に躊躇するのではなくまずは伝えること。家族でも友達でも仕事仲間でも、自分と相手の感じ方は違うものなのに、相手の思っていることを想像してもそれが間違っていることから始まるのがボタンの掛け違いですよね。他人の心の中を勝手に決め込まない。伝えることの大切さを改めて感じた作品です。

大國魂神社や府中の実在のお店も出てきて晴香と美雨の姉妹に会えるような舞台の展開に謎解きのインタラクティブも入って、とても読み応えのある作品です。府中散歩が楽しくなりますよ。

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Yoshioka Makoto
弁護士法人あさかぜ法律事務所代表弁護士 「明けない夜はない」を胸に依頼者とともに。 相談の席で弁護士が真摯にお悩みを受け止めることで、心と体の重荷が解き放たれる。 癒えた心で法的助言を聞き、新たな未来の光を見つける。 その後、依頼者と弁護士が共に歩み解決へと導く。 明けない夜はありません。